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Blizzard CEO Allen Brackの台湾メディアインタビュー翻訳

 台湾のゲームメディア『巴哈姆特(バハムート、以下GNN)』にて、Blizzard CEO Allen Brackの独占インタビュー記事が公開されました。

 Blitzchung事件やBlizzConについて語っています。以下翻訳です。

專訪 Blizzard 總裁談《爐石戰記》聰哥事件、Blizzcon 開幕致歉與《暗黑 4》等新作想法 - 巴哈姆特

 GNN:何故BlizzConのオープニングセレモニーの前に謝罪をすることにしたのですか?

J.Allen:この数ヶ月を思い返すと、Blizzardという企業、ファン、コミュニティ、社員にとって非常に困難な時期でした。我々は非常に多くの不適切なことをしてしまいました。我々は間違いを犯し、その対応が間違っていたならば、皆さんに説明をし、問題を直視し、プレイヤーと正式にコミュニケーションをとる必要があります。ですので、セレモニー開始前に謝罪することが正しいと考えました。

GNN:その時の気持ちはいかがでしたか?

J.Allen:(少し考えて)謝罪するということは懺悔の意を表したいということでしょう。我々は謝罪したかったのです。我々からすると、本当に多くの点で、もっと上手くできるはずなのに、うまくできていない点があります。私自身は、その時とても緊張しました。みなさんが私の発言をどう聞くか、私の話を聞いてくれるかどうかわからなかったからです。

GNN:当初『ハースストーン』グランドマスターズの裁定はやや急で、多くの批判を引き起こしましたが、この事件からBlizzardは何を学び(または教訓)、今後物議を醸し出す事件が起きたらどのように対処しますか?

J.Allen:我々はこの事件から非常に多くのことを学びました。我々の間違いは、動きが早すぎたことにあります。事件が起きた直後、すぐにチームを作り、どうするべきか検討を始めました。今思い返すと直ちに決定すべきではなく、まず足を止め、事件が起きた過程や影響を細かく見るべきでした。因果関係を細かく見てから決定すべきだったと思います。プレイヤーにとって、非常に大きな影響がある事件であり、Blizzardはこの事件から多くのことを学びました。

    我々はまず、定められている大会規定を精査すべきであったし、早く対応すべきだと、各方面への配慮がありませんでした。規定を見直してから決定を下せば、早すぎるということはありませんでした。Blizzardにとって、かつて経験したことのない事件であり、この事件に対処する上で、相応の経験がないことが露呈しました。伝統的なスポーツの大会でもこのような事件は起きており、今後それらの対処法から学んでいきます。

GNN:グランドマスターズ事件は後で処分を緩和しましたが、それでもBlizzardを悪く思う人は少なくありません。Blizzardは挽回するためにどうしますか?謝罪時にBlitzchungの名前を出さなかったことに不満がある人はいますか?2名の実況解説と今後連絡は取りますか?

J.Allen:Blitzchung事件については、Blitzchungと連絡を取りましたし、以前の声明で何度もBlitzchungに触れています。今は、この事件そのものだけではなく、我々とプレイヤー、コミュニティ、事件の利害関係者、つまり、我々と選手、コミュニティ、ストリーマーとの関係を注視しています。

    実況解説については、彼らと連絡を取り、契約を結び、正式に雇用しました。もちろんこれからもどのようにするのが正しいのか連絡を取り続けます。一方、彼らの仕事は何事もなく正確に与えられた仕事を終わらせることであり、イベント全体を滞りなく進行することが彼らの仕事であり責任です。

GNN:今回BlizzConでは『ディアブロ4』を最初に発表しました。何か特別な意味がありますか?

J.Allen:BlizzConでの発表順序は早い段階で決めていました。先に『ディアブロ4』のムービーを流すことは、既に皆さんを非常に長い間待たせており、皆さんも大きなストレスを受けています。もし、オープニングセレモニーで『ディアブロ』という言葉を言わなかったら、皆さんは恐らく何も聞き入れなかったことでしょう。ですので、4月頃にはもう発表順序について検討していました。

    BlizzConは通常Mike MrhaimeがそのイベントやBlizzardの発展を紹介し、その後で開発チームが新しい内容を発表します。今回は違ったオープニング方法を採用し、開場すぐに『ディアブロ4』のムービーを流しました。それにより皆さんは、オープニングセレモニーのカウントダウンから、ムービーを観、それからLuisが話す、というのを目にします。こうすることで、皆さんは『ディアブロ4』の発表がすぐ分かり、いつもと違った感じを受けると思い、最初の発表としました。

GNN:今回のBlizzConで発表された新作について、あなた自身が一番楽しみにしているのはどの作品ですか?

J.Allen:その質問にはとても答えづらいです。今回のBlizzConで発表された新タイトル、あるいは、新モードは全て好きです。『ハースストーン』の新拡張はとても期待しています。一年のストーリーが終わりを迎えますし、非常に素晴らしいものになると信じていますし、バトルグラウンドも開発チームの新たな試みです。

    『ディアブロ4』の開発には長い時間をかけています。オープニングセレモニーのムービーの雰囲気は正に『ディアブロ』の新章の幕開けのようですし、その場に居た皆さんは驚きと期待をしていました。ムービーはダークさが戻り、また現場で試遊できたこと、とても素晴らしく、やっと公開できてよかったです。

    『オーバーウォッチ2』も大きなニュースです。実際開発チームはPvEモードを長い間考えており、PvP以外にどうすればオーバーウォッチをより大きなものにできるか、更なる多くの要素を加えることについてずっと考えていました。このタイミングで公開できて非常に嬉しいです。

    『World of Warcraft』は、私にとって特別なゲームです。シルヴァナスとリッチキングが次にどうするのかを知りたかったのですが、ムービーチームが作ったものを観ると、シルヴァナスがリッチキングの兜を手にとった時、多くの人はそのままかぶると思ったと思いますが、結果はなんと!あのムービーは本当にポイントを押さえました。素晴らしいです。

GNN:今回の新作発表で、開発過程において紆余曲折あったり、特に印象に残っていることはありますか?

J.Allen:皆さん御存知の通りゲーム開発の過程は直線的なものではありません。一つの点から別の点に至るのではなく、何度も繰り返し、発展する過程があります。背後にある挑戦の話をするならば、『ハースストーン』は、複数人で対戦させたいとずっと思っていましたが、一体どのように実現すればいいでしょう?バトルグラウンドモードは8人同時に対戦します。これはゲームモードにおけるある種のブレークスルーですし、背後にある技術やプログラミング開発においてもブレークスルーです。バトルグラウンドがどのように発展していくか楽しみです。

    また、『ディアブロ4』は開発に相当な時間をかけています。ゲーム表現やカメラワーク、異なるプレイスタイルやプレイモード等、開発チームは多くのテストをしています。Luis Barrigaを『ディアブロ4』のディレクターにして良かったです。彼が表現する世界観はとても明確です。『ディアブロ2』の精神を引き継ぎ、ダークでスリリングな体験等、彼の考えやコンセプトは非常に明確です。

GNN:去年『ディアブロ イモータル』をBlizzConで発表した後、コミュニティの危機を引き起こしたと言ってもいいですが、この点について、今回BlizzConの前にチームに何か特別に注意するように言いましたか?

J.Allen:こう話すのがお答えになるかわかりませんが、オープニングセレモニーで、その場に居た観客の大多数は『ディアブロ4』と『ディアブロ イモータル』の違いが何であるかを理解していました。ですが、その他のコミュニティで言うと、両作品の違いがわかりません。そこで我々はオープニングセレモニーで『ディアブロ4』はPCとコンソールのゲームであり、モバイルのゲームではないことを明確に伝えるべきだと考えました。

    いかなる混乱を防ぐために、オープニングセレモニーでは『ディアブロ4』のみを伝えることで、皆さんが混乱しないようにしました。現在『ディアブロ イモータル』は相当に進んでおり、開発は順調です。

GNN:ですが、『ディアブロ3』はあまりに早く発表しすぎたために、発売まで長かったことでファンは不満でした。では、『ディアブロ4』を正式に発表する前に、内部で、例えば発表から発売までは長くしない、等の会議はあったのでしょうか?

J.Allen:『ディアブロ4』をいつ発売するかまだ決定はしていません。Blizzardからすると、ゲーム発売の機会は一回だけしかなく、発売時の第一印象がとても重要だと考えています。仮に開発が長引いても、クオリティが上がること、急いで発売しないことが重要だと考えています。Blizzardの人間はよく「ゲームの準備ができ、我々の要求に達してこそ発売できる」と口にします。皆さんも非常に期待していますし、私自身も早く『ディアブロ4』を遊びたいです。このゲームは本当に素晴らしく、多くのディアブロファンも期待していますが、完璧に近づけてこそ発売できます。

GNN:『オーバーウォッチ』のルートボックスがヨーロッパで賭博法違反行為だと見なされていますが、どう考えますか?今後のBlizzardの新作ゲームや『オーバーウォッチ』の開発に影響がありますか?

J.Allen:まず最初に言いたいことは、Blizzardのゲームが遊べる各国はそれぞれ独自の法律があり、Blizzardは現地の法律を尊重し、ゲームが現地の法律に合うようにします。

    ですが、『オーバーウォッチ』のルートボックスが賭博法違反であるという考えには同意しません。『オーバーウォッチ』のルートボックスはユーザーフレンドリーであると考えます。中身は主にスキンであり、キャラクターの能力に影響しません。またユーザーや必ずしも課金する必要はなく、いろんな方法でルートボックスを獲得できます。ですので、現在の議論は、全てを否定するようなもので、『オーバーウォッチ』のルートボックスと、その他のそれほどユーザーフレンドリーではないルートボックスをイコールにはできません。

    我々は『オーバーウォッチ』のルートボックスのメカニズムを引き続き改善していきますし、どのようにするのが正しいやり方かより慎重に考えていきます。Blizzardと立法者でこのメカニズムについて学ぶ余地がまだあると思います。ただ、何を言うと、Blizzardは必ず現地の法律を守ります。

GNN:『スタークラフト』シリーズのストーリーは一段落着きましたが、多くの『スタークラフト』ファンのために、今後『スタークラフト』シリーズの新しい開発計画はありますか?あるいは、どのようにして『スタークラフト』IPを継続していきますか?

J.Allen:『スタークラフト』は我々の古典的なIPで全世界に多くのファンがいますし、私自身もファンです。『スタークラフト』はBlizzardにとってずっと重要な地位にいます。多くのファンがずっと『スタークラフト』を支持し愛してくださって感謝しています。もちろん、将来『スタークラフト』の世界で多くの新しいゲームを作ります。

GNN:今年はちょうど『World of Warcraft』15周年です。『World of Warcraft』の成長を見てきて、感想はいかがですか?『World of Warcraft』は今後どのように発展しますか?『World of Warcraft Classic』と『World of Warcraft』に開発人員が分けられましたが、新拡張の速度は今と変わらないでしょうか?多くのプレイヤーは、今後同様に発展していくと、馴染み深いキャラクターは全員居なくなってしまうのでは、と心配しています。

J.Allen:(頷き)この問題は範囲が大きいです。こう言いましょう。『World of Warcraft』の歩みは経緯と感激に満ちており、『World of Warcraft』のプレイヤーコミュニティに非常に感激しています。以前『Battle for Azeroth』とClassic版を発表しましたが、Classic版は我々にとってマイルストーンと言えます。現在の環境下で如何にClassic版をリリースするか、技術的にもブレークスルーすべき点がたくさんあり、どのように技術的制限を突破すればプレイヤーに現在の環境下でClassic版を遊ばせられるか長い間検討いたしました。

     その後、技術的に新しいポイントがあり、去年とうとうClassic版を発表することができました。プレイヤーの反応は熱烈なもので、同時に我々はナクスラーマスまでのそれぞれのパッチの準備をしました。

     今後の数年は、プレイヤーの反応や、新拡張への考えを観察し、『World of Warcraft』のストーリーをShadowlandsまで続けます。新拡張を遊ぶプレイヤー、Classic版を遊ぶプレイヤー、その両方を遊ぶプレイヤーの割合を観察し続けます。プレイヤーの選択と我々が観察するプレイヤーの人数が、今後どうするかに影響を与えます。

     キャラクターの引退や死亡については、過去の10年間でも常に問われていました。『World of Warcraft』には多くのプレイヤーに愛されるキャラクターがいて、色んな方法でプレイヤーとコミュニケーションを取らせてきました。『Shadowlands』の特色は、死者の世界に行き、そうした死んだキャラクターとコミュニケーションが取れ、そのキャラクターの人生を観ることができます。これはきっと新鮮な体験に違いありません。

     もちろん、時間は進んでいきます。あるキャラクターが居なくなるのは正常な発展です。愛されるキャラクターは、生きている時や死者の世界でもその影響力を発揮し続けることでしょう。

GNN:Mike Morhaimeは海外メディアのインタビューで『Heros of the Storm』は、リリースが遅すぎてMOBA市場で勝てなかった、と言っていますが、BlizzardはMOBAゲームについてまだ何か計画がありますか?今後、急に人気が出たジャンルへの開発やリリース速度は変わりますか?

J.Allen:これは良い質問ですね。Blizzardにとって、それぞれのジャンルの開発をすることは重要ではありません。バトルロイヤルゲームが流行っていますが、Blizzardは投入していません。我々にとって、大ヒットしているジャンルだから投入を急ぐというのはあってはなりません。

    例えば、『ハースストーン』の新モードは、多くの人は、我々がオートチェスを作ったのではないかと思っていましたが、細かい点は違います。我々は、オートチェスが流行ったから開発したのではありません。反対に、オートチェスの概念を『ハースストーン』に応用できるかどうか、『ハースストーン』と融合させて新しいモードを開発できるかを考えており、直接オートチェスを開発したわけではありません。我々の考えは、如何に多くのプレイヤーを『ハースストーン』で同時に1マッチに参加させるか、オートチェスの方式を用いたらどうか、もしかしたら良い出発点かもしれない、ということで、このような遊び方で『ハースストーン』と融合させました。

    私はこれもBlizzardが重視するものは何かというのを表していると思います。つまり、新しいゲームジャンルやポイントを目にしたら、どのようにより良く変化できるか、そしてそれをやり遂げる、ということです。

GNN:モバイルゲームは非常に大きな市場ですが、開発速度は他のプラットフォームより早くなければいけません。ですが、Blizzardの、良いものができてからリリースする、という考えとは異なるようです。モバイルゲーム市場については、どのような開発理念があり、また、適切に早く速度でリリースできるような環境はありますか?

J.Allen:我々はまだこの問題の回答を模索しています。我々はモバイルゲーム市場に対しては比較的保守的です。現在、モバイルゲーム市場で既にリリースしている『ハースストーン』等の作品以外に、まだ正式に公開していないモバイルゲームがありますが、これはBlizzardがモバイルゲーム市場に対し比較的慎重でいることを表しています。

    Blizzardにとって、我々が重視するのは、ゲームはBlizzardの高水準、高品質の要求を満たしているかどうかです。ゲームリリース後のアップデートの要求は、モバイルゲームの更新速度はとても早いですが、この点で我々にとって困難ではありません。Blizzardは品質を第一としており、開発に長い時間をかけることで良くなるなら時間をかけますし、もし、プレイヤーの要求がより早いアップデートであるならば、また別の克服すべき挑戦に過ぎません。実は『World of Warcraft』の固定のアップデートのように、固定のアップデートは我々の事情なのです。

GNN:『オーバーウォッチ』のBlizzCon発表前にいくつかの情報がリークしてしまいました。この点についてどう考えますか?

J.Allen:実は私が『World of Warcraft』の開発チームだった頃、何回もBlizzCon前に情報がリークしたことがあります。ですので、今回初めてみる状況ではありません。

    言い換えれば、これは皆さんが気にしており、新しい内容は何かを期待していることの表れとも言えます。もちろん、リークを目の当たりにしたときには、どうして発表したかったことを漏らしてしまうんだ、と思いますし、開発者にとって本当に苦悩します。ですが、皆さんの反応はこのゲームをとても期待しているということです。ネットでリーク情報を見るとの、実際にBlizzConの現場でムービーやゲーム画面を見るのは、受け取り方が違いますし、実際に見たり遊んだりすることが真実であり、これこそが我々が皆さんに提供したい体験です。

GNN:最後に、Blizzardを自身の手で経営したこの一年の感想は?

J.Allen:正直に言って、相当に大変で、挑戦しがいのある一年でした。多くの物事を処理する必要がありますが、それでも私の心はゲームに集中していました。BlizzConは我々の努力の成果を表す最高のタイミングです。こうした機会に皆さんに開発チームが一生懸命作っているものは何かをお伝えできるのは、有り難いことであり、その精神でこれからも頑張っていきます。